任意整理とは？
任意整理とは、弁護士(もしくは司法書士)に依頼して債権者(ｻﾗ金等)と直接交渉してもらい、借金を減額してもらう制度です。とは言いましても、別に弁護士が債権者(ｻﾗ金等)に「お願いですから、もう少し安くしてあげて下さい」などと頼み込むわけではなく、とある法律の計算式によって正確に減額されます。
そしてその減額された借金を約3年～5年間で分割返済していくのです。この任意整理のおかげで「借金が何百万円分も減額された！」という話はよく聞きますし、毎年数万人の方々が救われているのも事実です。
（ただし最近借金されたばかりの方は、ほとんど減額されません）
借金減額の秘密
ちょっと込み入った話になりますが、非常に大事なことですからよく聞いて下さい。現在、日本の借金に関する法律には「出資法」と「利息制限法」という似たような2つの法律が存在します。
出資法とは、年利29.2％を超える利息でお金を貸してはいけませんよ、という法律です。もしも違反した場合には、5年以下の懲役又は3000万円以下の罰金が科せられます。その為、ほとんどの貸金業者はこの法律を守って年利25％～29％くらいにしています。
もう一方の利息制限法とは、元本10万円未満の利息は年利20％、10万円以上100万円未満は年利18％、100万円以上は年利15％までにしなさいよ、という法律です。しかし例え、100万円以上で年利16％にしたとしても罰則はありません。なるべく守って下さいね、程度の法律です。
出資法と利息制限法について
【出資法】
利息の上限＝年利29.2%まで
罰則＝5年以下の懲役又は3000万円以下の罰金！
【利息制限法】
利息の上限＝借入金額で異なる
・10万円未満
年利20%
・10万円以上～100万円未満
年利18%
・100万円以上
年利15%
罰則＝特に無し♪
まとめますと、出資法は年利29.2％までで違反したら罰則が待っています。利息制限法は年利15％～20％までになるべくして下さいねという法律です。
高い利息(29.2％)で貸した方が貸金業者は儲かりますから、利息制限法(年利15％～20％まで)なんてもちろん守りません。知らん顔です。
ほとんどの貸金業者は利息制限法を無視しています。ところが・・・？
ｸﾞﾚｰｿﾞｰﾝ金利の返還
近年は利息制限法を重視するようになってきています。つまり年利15％～20％までで、それ以上の利息は無効となるのです。例えば以前、年利25％で100万円借りていた人なら、1年間で25万円の利子がついていたわけです。でも利息制限法で考えると年利15％までが上限ですから、1年間で付く利子は15万円までのはず。そう、出資法だと25万円の利子で、利息制限法だと15万円の利子。その利子の差は10万円にもなります。
実は、この10万円、あなたのものになるのです。
この差額の金利分をｸﾞﾚｰｿﾞｰﾝ金利と言って、債務整理を行うとあなたに返還されます。（正確には借金の返済にまわされる）
長期間の返済（5年以上）を行っている方だと返還金額が多いので、場合によっては借金がｾﾞﾛになって追加で数十万円もらえてしまう・・・なんてこともあるのです。これを過払い金の返還と言います。
将来利息のｶｯﾄ
そしてさらに嬉しいことがあります。大抵の場合は債務整理を申し込むと、「今までの利息は支払うけど、これからの利息分はもう払わなくて良いでしょ？」と貸金業者に弁護士が話をつけてくれるのです。利息ばかり返して元本が減らないという状況から脱出できるのです。借金を返済したら、返済した分だけ確実に借金が減っていきます。それが将来利息のｶｯﾄです。
例えば利息分を含めて110万円あった借金も、毎月2万円ずつ返していけば108万円、106万円、104万円・・・と確実に借金を減らせるんです。これで「利息を払うだけで精一杯」という状態から脱出できます。これがどれだけ素晴らしいことか。
任意整理は失敗することもある
任意整理を申し込んだ時、稀に債権者(ｻﾗ金等)が「嫌だよ、通常通り支払ってくれよ」とｺﾞﾈる事もあるようです。任意整理には強制力は無いので、時にはこういったことも起きたりします。
しかしそこが弁護士の腕の見せ所。優秀な弁護士ほど、債権者(ｻﾗ金等)を納得させてくれる確率も高くなります。弁護士を選ぶ際には、できるだけ優秀な弁護士にお願いしたいものです。
その逆に優秀ではない、・・・つまりﾀﾞﾒな弁護士も残念ながら存在します。その多くは任意整理を面倒くさがり、借金の減額交渉も適当にしか行いません。恐るべきは、どんな状態でもとにかく自己破産を勧めてくること。自己破産を勧めてくること自体は決して悪いことではありませんが、任意整理や特定調停の可能性が残されているにも関わらず強引に自己破産を勧めてこられたら要注意。
不運にもそういった弁護士事務所に出向いてしまったなら、一刻も早く別の弁護士事務所に依頼し直すことをｵｽｽﾒします。
実は任意整理は弁護士に頼まなくても申請できる
実は任意整理は弁護士(もしくは司法書士)に依頼せずとも、自分一人で申請することが可能です。しかし、これは非常に難しい事なのです。本屋さんに行けば「一人でもできる任意整理」なんていう本があるかも知れません。よほど素晴らしい本であれば別かも知れませんが、大抵の場合は本を読んだだけの付け焼き刃の知識では返り討ちにあうのが目に見えています。
というのもｻﾗ金業者は、債務者本人が任意整理の交渉をしようとしても相手にしてくれない事がほとんどです。しかもちょっと恐かったりします・・・。それでも自分一人でやりたいというのであれば止めはしません。しかしｻﾗ金業者に出向いてはみたものの、
「任意整理？いや、そんなこと言う前にｷｯﾁﾘ払ってくれないと。何言ってるんですか！」
なんて言われた時、どう対処すれば良いのか？
その答えがわからないようであれば、任意整理は「自分一人でも申請は可能だが、実現はほぼ不可能に近い」と肝に銘じ、専門家に依頼するようにしましょう。
【任意整理ｺﾝﾃﾝﾂ】