【借金女王さん】に任意整理体験談インタビュー
2008/08/07
2000年5月に債務整理を始め、2003年8月には借金を完済させた借金女王さん。サイト「借金女王」を運営されており、事細かくその時々の状態を記録した「返済日記」は必見。借金問題解決のヒントが大変多く含まれています。また、掲示板を用いた借金相談も行っており、多数の債務者を救ってきた実績を持っておられます。
そんな借金女王さんに、記念すべき第一回目のインタビューを受けていただきました。
――皆さん多額の借金を背負ってしまった経緯は様々だと思いますが、借金女王さんの場合、キッカケはどのようなものでしたか?
借金女王:
ズバリこれがきっかけ、というものはありません。私はバブルのピークの頃に社会人になりました。収入も多かったですが、仕事の量も大量で、振り込まれたお給料を引き出しにいくヒマすらありませんでした。(今のようにコンビニにATMがあって24時間いつでも引き出せる、というわけではありませんでした)
それで、クレジットカードで払えるものは全部クレカで払うようになりました。「後でまとめて銀行から勝手に引き落とされる」という感覚で本当にお財布代わりにクレカを使っていましたので、クレカでの買い物が「借金」であるという感覚はまっくたありませんでした。
クレカのキャッシング枠やサラ金を使うようになったのは、バブル崩壊後、収入が減って、クレカの返済額が足りなくなり、その補填をするためでした。現金を借りるようになって初めて「自分は多重債務者だ」と自覚しました。
――借金地獄時代には相当な苦労があったと思います。その中で特に印象に残っている事といえば何でしょう?
借金女王:
「借金地獄」というような時代は自分では無かったと思っています。「借金地獄」という表現も好きではありません。一時、失業して完全に収入が途絶えた時期はケータイや家電はしょっちゅう止められていました。食事は朝と夜にゆで卵を1つだけ、ということもありました。でもその生活は「地獄」だったというよりも、出家して山にこもった修行僧の気分でした。
お金も無いし、食べる物もないので、家に引きこもっているしかありませんが、だからこそ、世俗から離れ、ある種の「悟り」が開けたように思います。私の中の「借金女王」という人格は、この時期に開眼したと思います。
――借金返済に困るようになってきたら、どのように行動すべきでしょうか?
借金女王:
まずは生活(家計)の見直しです。お金を作ることより先に支出を減らすことを考えるべきです。それでも生活費+返済額が収入よりマイナスになってしまうようなら、迷わず専門家に相談することです。
奇しくも「どのように行動すべきでしょうか」というご質問ですが、実は借金で首が回らなくなってくると、ひとりで抱え込んで悩んだり、イライラしたりするばかりで、何も「行動しない」ことが、多重債務者が多重債務から抜け出せない最大の原因です。
とにかく何らかの「行動」を1分でも早く起こすことが大切です。
――借金で首が回らなくなってきた場合、やはり弁護士(司法書士)のような専門家に相談しない限り、借金を減らすことは難しいのでしょうか?
借金女王:
それは、その人の債務内容や生活状況、性格などにもよるので一概には言えません。でも、多重債務は生活習慣病のようなものだと思います。生活習慣病も、人によっては、ある日一念発起して、運動をし、食生活を改善し、規則正しい生活に改めれば、病気を自力で克服できるかもしれません。
でも、それには本人の強い意志が何より必要ですし、家族の協力も不可欠です。病気のこと、体のこと、食物のことなどに関する正しい知識も学んでおく必要があるでしょう。
オカルト的な民間療法を試して、かえって悪化してしまうこともあるかもしれません。そういう手間や労力やリスクを考えれば、医師に頼った方が楽だしリスクも低い、と考えるのが一般的です。
多重債務も、本人の意志と家族の協力で、克服できる場合もあるかもしれませんが、強い決意と正しい知識を持って立ち向かわなければ、かえって状況を悪化させてしまう危険性があります。
ネットが普及してきて、法的整理をせずに借金をなくす方法とか、専門家に頼らずに債務整理をする方法などもたくさん見つけることができるようになっていますが、私はそれも、「オカルト的な民間療法」のようなものだと思います。リスクがあることを十分承知した上で、試してみるなら、自己責任でどうぞ、としか言えないです。
――弁護士事務所を訪れるとなると、ちょっと緊張すると思います。実際、借金女王さんが弁護士事務所を訪れた時の心境はどんなものでしたか?
借金女王:
私の場合は、もともと仕事柄「士業」の方と接する機会があったので、特に弁護士さんだから、と緊張したり身構えたりすることはありませんでした。私がお願いした弁護士さんは、弁護士会の相談窓口で偶然担当になった方でしたが、「事務所」と言っても、ご自宅で奥さんをアシスタントにしてひとりでやっている方で、家も近所だったので、本当にまったく緊張感はゼロでした。
なので、全然他の方の参考にはならないですね。
――任意整理を行った際、今までの生活と変わった点はありましたか?
借金女王: とりあえずゆで卵だけの食事はなくなりました。普通に3食食べて、普通に必要な物が必要な時に買えるようになったことが、何よりの幸せでした。
――1日3食の食事が取れて必要な物が買える、そのありがたみがこちらにも伝わってきます。任意整理をしてからは借金の取り立ても無くなったんでしょうか?
借金女王: 一切ないです。
――任意整理を行ってみて、良かったと思いますか?後悔はありませんか?
借金女王: 任意整理を弁護士さんにお願いしてから丸8年経ちましたが、後悔したことは一度もありません。
――もし借金女王さんが任意整理を行っていなかったなら、借金を完済することはできていたと思いますか?
借金女王: どうでしょうか。完済できたとしても、3年程度では無理だったと思います。ひょっとすると、今も返済中だったかもしれません。利息を考えると、総返済額も4〜5倍になっていますね。
――全ての借金を支払い終えてから、一番印象に残っている贅沢といえば?
借金女王:
完済前でしたが、返済のメドも経ち、貯金もできるようになったので、2001年10月のNBAジャパンゲームのチケットを買いました。確か3万円くらいでした。NBAが大好きなので、当時は1年置きに行われていたジャパンゲームは何があっても行きたくて、6月の発売開始と同時に購入しました。
でも、その年の9月に、9.11のテロが起きてジャパンゲームは中止に。チケット代は払い戻されましたが、これ以降、日本でNBAのゲームは行われていません(T_T)
――贅沢どころか、むしろ残念な思い出ですね・・・。そのNBAの選手の中で一番好きなチーム(選手)はありますか?
借金女王:
チケットを買った当時は、アイバーソンに萌え萌えでした。でも、毎年若い良い選手がどんどん出てくるので、目移りしてしまって、決められません(^^ゞ
ひいきの選手やチームを「応援する」という観戦スタイルでなくても、ゲームやプレイそのものを楽しめるところがNBAの魅力です。
――個人的な質問で申し訳ないんですが、スラムダンク(漫画)はお好きですか?
借金女王:
アニメは一通り見ました。おもしろかったです。漫画の方は読んでないです。その「スラムダンク」がアメリカ進出するみたいですね。(記事リンク)
バスケの本場のアメリカ人に、花道くんはどう見られるのでしょうか。日本人と中国人の区別がつかないような人には、ヤオミンの学生時代の話と間違われるかもしれないですね。
――お仕事がお休みの時は、何をされていることが多いですか?または、最近ハマっていることは?
借金女王:
今は先の予定がほとんど立たない仕事で、その日になってから「今日は休み」とわかるような生活です。なので、休日はだいたい掃除や洗濯をして、録画してある番組を見ると終わってしまいます。
一応、自作パソコンが趣味、とサイトには掲載していますが、最近は自作するより、ショップブランドのパソコンを買った方が安いので、たまーに、古くなったパーツを入れ替える程度です。
――最近のPCは、ショップブランドかDELLあたりで購入すれば、かなり低価格で買えるようになりましたよね。
借金女王: 最近は、ベランダガーデニングに凝り始めています。今は朝顔とミニひまわりを育てていますが、お花だけではなく、ハーブや野菜も作ってみたいと思っています。睡蓮鉢に水草やメダカを入れて、最近流行りのベランダビオトープもやってみたいです。
――これからの借金女王さんの目標や夢(やってみたいこと)を教えて下さい。
借金女王: 40過ぎのおばさんなので、大きな野望はもう持っていません。お互いの仕事の都合でずっと離れて暮らしている彼と、そのうち一緒に暮らして、縁側のある小さな家で、のんびりふたりで年を取って行けたらいいなぁ、と思っています。
――縁側のある小さな家でのんびりと・・・いいですね。情景が想像できるようです。早く彼と一緒に暮らせるようになるといいですね。
最後に読者の皆さんに一言メッセージをお願いします。
借金女王:
借金は家計への負担であるのと同時に、心の負担でもあります。債務整理をするメリットは、単に債務を軽減するだけではなく、心に抱えていた負担や不安から解放されることにあります。
借金に悩んでいた人たちが債務整理をすると、「想像以上に気持ちが楽になった」「心が軽くなった」「前向きな気持ちになった」などと、みなさん口をそろえて言います。弁護士さんなどの専門家に相談をするだけでも、本当に気持ちが楽になります。
「悩んでいるよりまずは行動」です。債務整理を躊躇している人も、とにかくまずは専門家に相談してみてください。きっと目の前に明るい道が開けてくるはずです。
――借金女王さん、ありがとうございました!